高山病について

高山病について(英語altitude sickness

2000m以上の標高では、低地より酸素量が低い為、血中酸素濃度が低下しやすく、初期段階では、頭痛、吐き気、めまい、食欲不振、手足のむくみ、脈拍が早くなったりと、風邪のような症状が現れます。睡眠障害や運動障害まで進むこともあります。二日酔いの症状にも似ているので「山酔い」とも言われています。特に睡眠不足や時差ぼけで体調不良の時には注意が必要です。

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高山病のかかりやすさは生まれつきのものですので、次第に慣れることもなく、トレーニングによって改善されることも少ないといわれています。うっ血性心不全や呼吸不全などの症状をお持ちの方は、このような高地への旅行を決める前に主治医の先生に相談することをお勧めいたします。また普段から貧血気味の方は、高山病になり易いといわれています。また睡眠中にも酸素摂取量が低下するので、夜中や明け方に症状が出やすいともいわれます。

高山病にならないようにするためには、深い呼吸で酸素を十分に取り込み、一方で酸素をなるべく消費しないようにゆっくりしたペースで行動し、体を高地に順応させることが大切になります。

 

高山病の対応について「日本旅行医学会」より抜粋―

高地を旅行する方に高山病について一番理解しておいて欲しいことは、高山病を完全に予防することではなくて、高山病で死なないことです。高山病の症状の発現や病気の進行は非常に遅く、十分予測が可能です。天候に遮られたり地理的に下へおろすことが不可能であるような条件がない限り、きちんとした対応をとれば高山病で死ぬことはないのです。

高山病で死なないために知っておいて欲しいのは次の3点です。
1:高山病の早期症状を知って、その症状の出現が判るようにする。
2:高山病の何らかの症状があったら、それ以上高い地点に上がらない。
3:同じ高度で休んでいても症状が悪くなったら低い地点に下りる。
おかしかったら我慢せず、すぐに低い地点まで降りるというのが鉄則です。周りの人と無理に歩調を合わせようというのが一番危険です。

 

高山病の予防及び治療

DSC_1961高山病の予防及び治療に効く薬は3種類あります。
その中で一番使いやすい薬はAcetazolamideアセタゾラミド(商品名 Diamoxダイアモックス)です。この薬を高地に上がる前に飲んでおけば山酔いを防止することができます。また症状が現れてからでも服用すれば早急に改善されます。この薬の作用により、血液が酸性となるために呼吸が刺激されて増加し、その結果高地に順応することができます。通常の投与量は250mgを1日2回高地に行く前の日から服用します。125mgを1日2回の服用でも同様の効果が得られて副作用が少なくなると言われていますので、「125mg1日2回」の服用をお勧めしております。この薬に対するアレルギー反応は稀ですが、アセタゾラミドはスルフォンアミド化合物であるため、サルファ剤にアレルギーのある方の服用はおやめください。
Dexamethasoneデキサメタゾンは副腎皮質ホルモン剤ですが、山酔いと高地脳浮腫の予防と治療に効果があることが知られています。この薬剤により高山病の症状は改善しますが、高地に順応する効果はありません。そのため、服用している間だけ症状を抑えますので、もし高地にいく途中で薬がなくなったら、高山病の症状が急に現れる危険があります。高地に旅行される方は、まず山酔いの防止のためにアセタゾラミドを服用して、激しい症状が出たときのためにデキサメタゾンを持っていた方がよいでしょう。投与量は6時間毎に4mgです。
Nifedipineニフェジピンは高地肺水腫を起こしやすい人に対して、高地肺水腫を予防し改善することが知られています。投与量は8時間毎に10mgです。

 

薬の入手

残念ながらこれらの薬は、処方箋なしで一般の薬局で購入することはできません。医師に相談して処方してもらってください。保険の適応にはなりません。

高山病の予防薬としてアセタゾラミド(ダイアモックス)の処方可能な病院
http://www.jstm.gr.jp/japan_map.html

 

正しい知識を持って行動すれば、標高3000Mの素晴らしい自然の中で、楽しむことが出来ます。私たちは小型のパルスオキシメーターを使って、酸素欠乏症に移行する前に予防策に心がけています。また症状緩和の為の携帯用酸素を常に携行しています。

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