カリフォルニアにしか生息しないゴールデントラウトとは?

ゴールデン・トラウトは、カリフォルニア州のシエラネバダ山脈原産のトラウトで、1947年にカリフォルニア州の淡水魚の象徴、”州魚”になっています。

カリフォルニア州のシエラネバダ山脈以外の地域にあたるユタ州、アイダホ州、ワイオミング州、モンタナ州、オレゴン州、コロラド州などにも現在ゴールデントラウトとされるものが生息していますが、それらは1900年代の初頭にシエラネバダから西部各州に移植されたものの末裔で、DNA検査の結果、レインボーなどとの交配種(ハイブリッド)であることがわかっています。美しい純血種を見ているカリフォルニア州の釣り人からすると、レインボー・トラウトなどとの雑交配で大型になり、やや野生的な顔立ちをした他州のそれらの魚を、同じようにゴールデン・トラウトとは呼べないと内心では不本意に思っているのです。(残念ながらネバダ州やニューメキシコ州に放流されたものは、絶滅したと言われています)

現在カリフォルニア州議会は、ゴールデントラウトの卵や稚魚の州外への持ち出しを禁止しています。

文献やインターネットなどで「ゴールデン・トラウト」を調べてみると、
①    カリフォルニア・ゴールデントラウト、
②    サウスフォーク・カーンリバー・ゴールデントラウト、
③    ボルケーノクリーク・ゴールデントラウト、
④    ゴールデンクリーク・ゴールデントラウト、
⑤    リトル・カーン・ゴールデントラウト、
⑥    カーン・リバー・レインボー・トラウト
6種の名前がゴールデントラウト関連として見つけることができますが、少々ややこしい事がありますので説明しましょう.

カリフォルニア・ゴールデン・トラウトは、学名、Oncorhynchus mykiss aquabonita, カリフォルニア州・シエラ・ネバダ山脈の南の地域にあるサウス・フォーク・カーン・リバーとゴールデン・トラウト・クリーク流域で発見されたトラウトで、レインボー・トラウトと同じ先祖を持ち、1万年前頃に別な進化したトラウトの種類です。以前はゴールデン・トラウト・クリーク流域で発見されたものは、ボルケーノ・ゴールデン・トラウト、学名、Oncorhynchus mykiss rooseveltiと呼ばれていて、別の分類とされていたようですが、後の研究でサウス・フォーク・カーン・リバーとゴールデン・トラウト・クリーク流域で発見された2種類のゴールデン・トラウトは、1000年前頃の火山の噴火による溶岩によって二つの流域に分断された、元々同じ種類だと結論付けられたようです

現在、カリフォルニアの州議会で認められた州魚の“カリフォルニア・ゴールデン・トラウト” 学名、Oncorhynchus mykiss aquabonita,は、「true goldens(本当のゴールデン)」と呼ばれていています。

①カリフォルニア・ゴールデン・トラウト

②サウス・フォーク・ゴールデン・トラウト、

③ボルケーノ・ゴールデン・トラウト、

④ゴールデンクリーク・ゴールデントラウト、の4つの呼び名は、同じ魚を指しているということなのですが・・・・・・・・将来厳密なDNA検査が行われて、また別の分類になる可能性はあるかも知れません。

学名Oncorhynchus mykiss aquabonita,のOncorhynchusはギリシャ語で“鼻曲がり”や“しゃくれたあご”でサーモン属をあらわし、Oncorhynchus mykissと言うとレインボー・トラウト種の正式学名です。そしてAquabonita(アクア・ボニータ)は“水の美しい女性”を意味し、さしずめ“水の妖精”と和訳するのがロマンチックで良い・・・・・・と私も思っています。すなわちゴールデントラウトは、サーモン属・レインボートラウト種の分家筋の“水の妖精”と呼ばれる魚達・・・・・なのです。そしてAquabonita種が、もっとも美しいゴールデン・トラウトだと云われていて、別名“Fish from Heaven”とも呼ばれています。私の個人的な意見ですが、20cm前後のカリフォルニア・ゴールデントラウが最も美しい色と体型をしていると感じています。

シエラ・ネバダを起源にする、真の“幻のゴールデン・トラウト”を手にしてみてはいかがだろうか。