『ネイティブ・トラウト』と『ワイルド・トラウト』

『Native Trout』 と 『Wild Trout』の違い。

英語圏の人でも解釈に違いがあったため、公にカリフォルニア州政府の”California Department of Fish and Game”が以下のように定義しています。

California Department of Fish and Game

A wild trout is a trout that was born in the wild and spends its life cycle in the wild, regardless of the origin of its parents or ancestors. A native trout is a trout that was found here originally, prior to human influences. A wild brown trout is not native to California. A coastal rainbow trout is a native California trout (even if it came from a hatchery). A golden trout born in the Little Kern River is a wild, native trout.
(日本語訳)
ワイルド・トラウトとは親や先祖の血統にかかわらず、野生で生まれ、野生でその生涯を送っているトラウトです。
ネイティブ・トラウトとは人間の手が及ばない前に、元来その地で発見されたトラウト。
ワイルド・ブラウン・トラウトはカリフォルニアのネイティブ・トラウトではありません。
コースタル・レインボー・トラウトはカリフォルニアのネイティブ・トラウト(たとえそれが養殖場からきたものでも)。
リトル・カーン・リバーのゴールデン・トラウトはワイルドそしてネイティブ・トラウトです。

もう少し説明すると・・・・・・

レインボー・トラウトやゴールデン・トラウトは北米の原産なので、”北米のネイティブ・トラウト”です。
ブラウン・トラウトはヨーロッパやインドあたりが原産なので、アメリカのネイティブ・トラウトではありません、”ヨーロッパのネイティブ・トラウト”です。

”北海道のネイティブのレインボー・トラウトまたはブラウン・トラウト”という表現は、実は間違いなのです。
レインボー・トラウトは、関沢明清により1877年(明治10年)にカリフォルニア州から移入されたのが最初とされていますし、ブラウン・トラウトは1900年前後に北アメリカからニジマスやカワマスの卵に混じって導入されたと環境省がレポートしています。

日本のネイティブ・トラウトは”山女””岩魚”鮎””オショロコマ”などです。
それらはたとえ養殖場からの放流魚でも・・・・・・日本のネイティブ・トラウトです。

”Native”の辞書の日本語訳では、『先住民、土地の人、その国の言語を第一言語とする人、固有の動植物、天然の、自然の、野生型の、土地の、土着の、』など多くの意味を含んでいますので、アメリカ人でも混乱する人が多かったので、カリフォルニア州ではこれをはっきりとオンライン上で公に定義しました。

魚の表現については
Native fish の反対語は Non-native fish,
Wild Fish の反対語は stocked fish または Stocker

ルアーやフライ・フィッシングは英語圏から持ち込まれたスポーツ・フィッシングなので、英語表記が多いのですが、今後はこの定義に従って、雑誌の記事などが書かれることが望ましいと思っています。

カリフォルニアの釣り人は釣った魚をこういいます,
ネイティブ→ その地域の原産で、固有種の魚、(レインボー、ゴールデン、カットスロートなど)
ワイルド→ 野生の魚(川で野生として生まれた魚)
ストックまたはストックカー→ 放流された魚(養殖場から人間の手によって持ち込まれた魚)